文化庁の著作権登録は使えない
ところが、残念なことに、日本の著作権登録制度は、そのような無名著作者の用に供するものとはなっていません。
何故なら、日本の文化庁で行っている著作権登録は、公開・公表・公刊された著作物だけが対象となっているからです。意外に思われるかも知れませんが、未公開・未公表・未公刊の著作物は、そもそも制度の対象外であって、登録さえさせてもらえないのです。
文化庁の著作権登録の手引きを見ると、未公表の著作物については「下書きを保存して下さい」などと、気休めのようなことしか書いてありません。
予算も人員も足りないので無名著作者の面倒までは見ていられないということでしょうが、コンピュータ時代となって久しいのに、皆が原稿用紙に下書きしているとでも思っているのでしょうか。これでは文化立国の名が泣きます。
いずれにしても、日本の著作権登録は、映画など権利関係が複雑な著作物の権利関係に混乱が生じないように登録しておくのが主な目的で、一般人とは無縁の、使えないシロモノとなっていることは、認識しておいた方がいいでしょう。
未公開・未公表・未公刊の著作物を登録
アメリカの著作権登録は、そうではありません。
米国の著作権登録制度では、未公開・未公表・未公刊の著作物を登録することは、公開・公表・公刊された著作物の登録と並ぶ、重要な柱となっています。
無名著作者の、しかも未公開著作物の登録を受入れるということは、言わば「何でもあり」に等しいわけですから、米国政府としても相当な労力を要すると想像されます。けれども、アメリカ合衆国では現在もこの制度を続けています。「知的財産大国」の底力というべきでしょうか。
一つ考えられることは、この登録制度が、アメリカの文化産業政策の一翼を担っているかも知れないということです。米国の著作権登録は、文化産業界の新人発掘と活性化に貢献している可能性があります。
エージェント(代理人)制度
その背景として、アメリカ特有の「エージェント(代理人)制度」というものがあります。
出版にかかわるエージェントをリテラリー・エージェントといいます。日本ではあまり馴染みがありませんが、最近になって「出版エージェント」や「出版プロデューサー」と称する業者がぽつぽつ出始めたようです。
アメリカでは、作家、音楽家、芸術家の多くに専門のエージェントが付いていて、このエージェントが芸術家本人に代わって出版社や音楽会社などの企業と権利交渉をするのが普通です。エージェントには弁護士資格を持つものもいるなど、法律知識が豊富で、素人である著作者のために企業との交渉を有利にすすめる役割を担っています。エージェントの活躍でクライアント(作家、音楽家、芸術家)の実入りが増えると、その分はエージェントの収入にも反映されます。
そして、これらのエージェントは新人発掘も行います。言うまでもなく、「新人」とは、エージェントにとっての「新たな顧客(クライアント)」を意味しています。その重要な「新人発掘の場所」の一つが、米国著作権庁の著作権登録簿だということです。
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