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庶民が海外に口座をもつ理由

 言うまでもなく、海外の銀行に外貨の口座を開くには送金の手間もかかるし、為替差損の可能性もないわけではありません。だからこそ、「絶対安全・有利」を求める庶民は、つい最近まで海外口座はおろか外貨預金さえほとんどして来ませんでした。

 海外口座・外貨には、日本の口座や円にはない(少なくとも「庶民には関係ない」と信じられていた)「リスク」があったからです。

 もちろん、現在でも海外口座・外貨に伴うリスクは相変わらず存在します。また、おそらく、「ローリスク」を求める日本人の心性そのものは昔とほとんど変わっていません。

 変わったのは、この国、すなわち日本の経済です。いわゆるバブルの崩壊以降、日本の銀行預金はあれよあれよという間に「ハイリスク」になって行きました。今や「不良債権」という言葉は小学生でも知っています。

その結果が最近の「海外口座開設ブーム」なのです。つまり、これは、伝統的に安全指向の強い庶民までもが、否、安全指向が強いからこそ、相対的にリスクの低い海外銀行に目を向けざるを得なくなったということを意味するのです。

 

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