米国統一機関基金プルーデント・マネジメント法
(Uniform Prudent
Management of Institutional Funds Act)
第1条 略称
第4条 寄付金基金(Endowment Fund)の支出への充当又は蓄積、解釈の規則
第6条 運用、投資又は目的に対する制約の免除又は変更
第8条 既存の機関基金に対する適用
第9条 国際及び国内の商取引行為における電子署名との関係
第10条 適用及び解釈の統一性
第11条 発行日
第12条 削除
解説
助成財団をはじめとして、教育、医療などの公益目的を有する公益法人・非営利団体(財団、学校、病院、文化施設など)の資産運用に関する指針をアメリカ合衆国諸州で統一するために起草された法律です。細かい修正はあってもほとんどの州で採用されています。
内容は、統一プルーデント・インベスター法の考え方をほぼ踏襲していますが、寄付者等の善意の資金を預かり運用する団体に適用されるだけに、「プルーデント・インベスター・ルール」よりも厳しい行動基準を課していると言えます。ただし、これは「元本を確保せよ」というような単なる数字合わせを規定するものではありません。寄付者の意図や団体の目的を条件とした上で、あくまで現代ポートフォリオ理論に基づいた合理的な投資行動を求めるものです。すなわち、財団等の公益法人にとって、資産運用はその長期的な公益活動を保障するための言わば生命線ですから、投資を分散することによって、いかなる経済状況の下でも活動資金を確保できるような、全体として最適なアセット・アロケーション(資産配分)を組むことが求められているのです。これには、インフレによる価値の目減りを防止することも含まれます。
その意味で、公益法人の資金運用担当者は、単に元本を確保できる投資・運用に資産を振り向けるだけでは、この法律に基づき「インフレ対策の不備」を問われる可能性があります。逆に、通常はハイリスクと考えられるヘッジファンドやプライベート・エクイティをポートフォリオの一部に組み込んだとしても、その組み入れ自体が合理的な投資の分散や資産配分に資するならばむしろ推奨されるでしょう(結果的にそれで損失が出た場合も、ポートフォリオの全体最適が保たれていれば責任は問われません)。ロックフェラー財団、フォード財団などの助成団体が現金・預金のポジションを極端に減らす一方で、ヘッジファンドやプライベート・エクイティへの投資割合を高めているのも、それが現代投資理論に適い、財団活動の長期継続を可能にするための適切な投資行動であるとみなされているからです。
このような資産配分に関する基本的な考え方は資産規模の大小にかかわりなく適用されるものです。今日、最適なアセット・アロケーションによる投資・運用を実現するため、ロックフェラー財団、フォード財団やビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団をはじめとするアメリカの巨大財団では、それぞれ数十人単位のファンド・マネジャーを擁する体制を整えています。しかしながら、資産規模が比較的小さな財団や私立学校、病院などの民間非営利法人・団体が、この法律の求める最適なアセット・アロケーションを実現するために、自前の運用体制を準備するのはほとんど不可能であると言っていいでしょう。
従って、この法律では、公益法人・団体がその基金の投資・運用の職責を外部の業者に委託することを認め、むしろ推奨しています。
このように、統一機関基金プルーデント・マネジメント法は、この分野におけるアメリカの先進性を示すものですが、資産の運用・投資が本来の業務とは言えない公益の助成財団、社団、学校法人、医療法人などの民間非営利団体にとってはやや厳しい内容を含んでいます。
この法律にみられるような考え方が近い将来我が国にも浸透・拡大していく可能性は十分にありますので、関係諸団体は今後対応を迫られることになるかも知れません。
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