ラップ口座 ― 搾取される富裕層
Part 1 ラップ口座にみる銀行、証券会社の本質
—「金持ち投資家は優遇されている」のか??!!—
「金持ち投資家」と「ゴミ投資家」
「金持ちはますます金持ちになる」という、ことわざとも言えない言い回しがあります。
そのように世間では信じられているということかも知れません。しかし、たとえお金持ちであっても、ただ「お金持ちである」というだけの理由で「ますますお金持ちになる」わけはないと思います。
一方、ひところ流行った言い方に「ゴミ投資家」というものがありました。
資金が1億円や5000万円にも満たない一般投資家は、銀行や証券会社などの金融機関からすれば、「投資家」というにも値しない「ゴミ」のようなものだ、というのがその心です。
「どうせ人間扱いされていない」のだから、あえて日本の銀行や証券会社には頼らないという「ゴミ投資家」の姿勢は、一時多くの人々の共感を呼びました。
しかし、その共感の背景には、ある種の「幻想」があったと思います。
人々の心の底には、嫉妬や偏見とやっかみとともに、この世のどこかに、自分たちとは異なり金融機関から「人間らしい扱い」を受けている「金持ち投資家」が存在し、そのような特別扱いのお陰で彼らは「ますますお金持ちになっていく」に違いないのだ、という思い込みが、あたかも「信仰」のように存在していたのです。
しかし、本当に、そのような「金持ち投資家」がいるのでしょうか。
サバイバル・ゲームで勝ち残った人々
世間は広いですから、絶対に存在しない、と言い切れない面もあるでしょう。過去には「損失補填問題」のようなスキャンダルもありましたから、あながち根拠がないわけでもありません。
けれども、日本全国に120万人ほどもいると言われている富裕層の人々の多くが、銀行や証券会社からそのような「優遇」を受けているとは、とても考えられません。とりわけ、日本で行なわれている、いわゆる富裕層向けの金融サービスについて深く知れば知るほど、「金持ち投資家の優遇」とは、単なる幻想に過ぎないと思えてくるのです。
ちょっと考えれば分かることですが、この国では、人は「お金持ち」と見れば、そこから出来る限りのお金を搾り取ろうとする傾向があります。「ゴミ投資家の思い込み」とは裏腹に、あたかも「金持ちをこれ以上金持ちにしてはならない」というのが日本社会のコンセンサスであるとでも言うように、寄ってたかって、あの手この手で富裕な人々から利益をむしりとろうとするのです。
現在の、そして将来のお金持ちとは、言わばその魔手に打ち勝ち、「サバイバル・ゲームで勝ち残った人々」なのです。
「優遇されている」のは小口の顧客
もちろん、金融機関とて例外ではありません。
日本の銀行や証券会社には、小口投資家を整理して経営を効率化し、利益率を高めた上で大口投資家に還元しようなどという発想はほとんどありません。それどころか、銀行や証券会社は、「費用ばかりかかって儲からないゴミ」であるはずの小口顧客に対しては、預金1円でも口座を開いてくれますし、運用手数料0.5%のインデックス・ファンドだって1万円から売ってくれるのに、富裕な大口の投資家にはやたらと手数料のかかる商品ばかりを売り込もうとします。
まるで、一般投資家の確保にかかる費用を賄うために「とれるところから取っておこう」と言わんばかりの姿勢なのです。
この現状を見ると、日本の銀行や証券会社では、「優遇されている」のはむしろ小口の顧客であると言わざるを得ないのではないでしょうか。小口顧客は、ほとんど利益をもたらさないにもかかわらず、会社は赤字を出しても彼らを確保しようとしているとしか見えないからです。
「金持ちがもっと金持ちになる」とは・・・
これに対して、大口の富裕な顧客は、資金運用の目的からみて本来必要とされる以上の費用を払わされるという「不利な取引」を強いられているとしか思えません。
このような環境で「金持ち投資家」が受け取るリターンは、一見大きな金額に見えるとしても、それは単に元本の金額が大きいから「大きく見える」だけなのであって、効率性の観点からすれば、「ゴミ投資家」が受け取るリターンよりもむしろ劣ります。日本では、「金持ちがもっと金持ちになる」のは、不可能ではないとしても、「ゴミが金持ちになる」よりもむしろずっと非効率的で、時間がかかるのです。
ラップ口座とは何か
前置きが長くなりましたが、証券会社や信託銀行などで提供されている、いわゆる「ラップ口座」(Separately Managed Account = SMA)とは、日本の金融機関における「富裕な顧客」の、そのような立場を象徴しているかのような金融商品です。
「ラップ口座」とは、「投資一任勘定」とも言われるように、一定以上の金額の運用を証券会社や信託銀行などに「お任せする」というものです。顧客である投資家は、取引ごとの手数料ではなく、運用残高の総額から一定比率の手数料を支払います。
そうすると投資信託とよく似ているように思われるかも知れません。
また、「ラップ口座」では、個々の投資家の目標や事情に合わせたテーラーメイドのポートフォリオが可能になるとされていますが、本当に個別のポートフォリオを作成してもらえるのはまれで、実際にはパッケージ化されたものからの選択になるケースがほとんどではないかと言われています。そういう意味でも、投資信託とよく似てくるでしょう。「手数料の高いバランス・ファンドだ」とか「いや、バランス・ファンドというよりもファンド・オブ・ファンズだ」などと言われるゆえんです。
しかし、重要な違いもあります。
まず、投資信託との基本的な違いは、「ラップ口座」の場合、組み入れられている証券の所有権が投資家自身に帰属することです。
ラップ口座の不透明性
また、「ラップ口座」と投資信託とを比較した場合、もう一つ忘れてはならない違いがあります。それは、「ラップ口座」の「不透明性」です。
そもそも投資信託にしてからが、大半のものはどんな銘柄をいつ売買したかなどの情報が投資家に対して十分に開示されているとは言えません。
それでも投資信託の場合は、投信会社や証券会社のホームページを見れば、基本的な情報は比較的容易に入手できます。基準価額はもちろん、信託報酬(運用手数料)がいくらかなどすぐに分かりますし、目論見書も閲覧できますから投資方針などの情報を得ることも難しくありません。
ところが、主要な証券会社のホームページで「ラップ口座」やSMAの情報を見ようとしても、具体的な手数料の比率など、全く記載がないのです。
そういうわけですから、「ラップ口座」の場合、あらかじめ各社のサービスについて調べたり比較したりすることが非常に難しくなっています。
—銀行、証券会社の手数料は運用にどう響くか」
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