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ヘッジファンド、投資ファンドの作り方

---1000万円で「ヘッジファンド」ができる?!---

 

 

 

 

投資ファンドを作りたい!!

 「投資ファンドを作りたいのだが、相談に乗ってくれないか」というお問い合わせが最近増えています。

 投資信託会社を設立したいと考える金融関連の会社だけではありません。個人や、零細企業ともいえる小さな会社からのお問い合わせが多いのです。

 けれども、なかには、やや勘違いされているのでは、と思える質問をぶつけて来られる方もいらっしゃいます。そこで、誤解を解く意味も含めて、「ヘッジファンド、投資ファンドの作り方」の見取り図を簡単にまとめてみました。

 まず、一口に「投資ファンド」と言いますが、1. ヘッジファンド、2. 投資信託(ミューチュアル・ファンド)3. ETF(上場投資信託)など、種類はさまざまです。これからファンドを立ち上げようと考えておられる方なら、そのおよその違いは理解しておられると思います。

では、上記の三つのうちで、立ち上げが最も容易であるのはどれで、最も難しいのはどれだか分かるでしょうか。

 

ヘッジファンドが簡単だ

 最も「身近」であるのは、明らかに投資信託でしょう。一般の投資信託なら巷の銀行や証券会社ですぐ買えます。

それに比べると「ヘッジファンド」は何やら専門的で、いかにも難しそうで、とっつきにくそうなイメージがあるでしょう。

 けれども、どちらが設立しやすいかという観点で言うなら、「ヘッジファンド」の方が一般的な投資信託よりもはるかに設立しやすいのです。立ち上げの容易さの順に並べるなら、1. ヘッジファンド、2. 投資信託、3. ETF(上場投資信託)となると思います。これは、1. 2. 3.の順を追うごとに、次第に厳しい金融規制の対象となるからです。裏を返せば、規制をなるべく受けないように設計されている(私募、すなわち募集の対象とする投資家の人数を限るなど)のがヘッジファンドですから、他に比べて面倒な手続きが少なくて当然。とっつきにくい印象があるのは、規制を避けるために一般に門戸を閉じているからでしょう。

アメリカの金融業界では、むしろヘッジファンドは初期費用も少なく参入しやすいとされています。

 

 

顧客イメージを明確化する

 そこで、ここではヘッジファンドの作り方を中心にご説明しましょう。

 「ヘッジファンド」と言うと、何やら物々しく聞こえますが、手続きからすると単なる私募ファンドにすぎません。一般の私募ファンドとの主な違いは、運用方針や投資戦略くらいですから、これからの話は、ヘッジファンド以外の投資ファンドを作りたいと考えておられる方にも参考になるかと思います。

 まず当然ながら、ファンドの立ち上げも一種の起業です。ですから、顧客のイメージを明確化することから始めましょう。顧客とは、この場合は投資家です。富裕な個人か、法人企業か、機関投資家か。国籍はどこか。何人(何社)くらいが適当か。これによって受ける規制も異なりますし、ファンド立ち上げの手続きも違ってきます。

例えばアメリカのみで営業するなら、ミューチュアル・ファンド(投資信託)を規制する法律である『1940年投資会社法』の適用除外に従って設計したファンドは、現在のところ規制をほとんど受けないでしょう。けれども日本で個人投資家を相手にして、しかも規制をほぼ完全に免れようとするなら、投資クラブ形式にでもするしかなく、営利的な運営は難しいかも知れません。

 また顧客として、いきなり機関投資家(年金基金、財団、ファンド・オブ・ファンズなど)を相手にしようとしても門前払いを喰らうだけだと思われるでしょう。けれども、富裕な個人とは比較にならない資金量を誇る機関投資家を顧客にできるかどうかが、ヘッジファンドの成否の鍵を握るとも言えるのです。

 

ヘッジファンド設立に必要な資金

 資金はどのくらい必要でしょうか。アメリカの場合、ヘッジファンド設立にかかる初期費用は500万円から1,000万円程度だと言われています。「そのくらいなら俺にも」と思われるかも知れませんが、これはあくまで費用ですから、立ち上げ時、あるいは設立後しばらくで消えていく資金です。これ以外に当然、投資運用の資金が必要になります。

最初から投資家が付いてくれるというラッキーなケースは別として、まずは自己資金を運用して実績を示さなければならないでしょう。顧客である投資家は、たいてい現実の運用成績を見てから決めるからです。また、ファンド立ち上げには金融機関のお世話にならなければいけませんが、当初から少なくとも1億円程度は運用しないと相手にされないかも知れません。

ヘッジファンドの特徴の一つに、「ファンド・マネジャーが相当な自己資金を投資してリスクをとっている」ことがあるとされますが、多くの場合、自己資金を投入しなければそもそも始まらないわけです。

 

ファンド運営は甘くない

 では、それだけやって儲かるかどうかと言えば、仮に投資家が順調に増えて10億円の資金を運用できたとしても、一般的なヘッジファンドの運用手数料は2%ですからマネジャーの取り分は2,000万円です。それだけ聞くと多いようですが、そこから諸経費を引くわけですから、事務所を借り、事務員を雇ったりしていれば実際の利益はわずかでしょう。アメリカでは「ヘッジファンド」と言っても実はSOHOだったり、経費削減のため自宅を事務所にしたりする例も多いのです。本気でやろうと思えば、初期費用、運用資金、さらに当面の生活費を蓄えた上で、覚悟を決めて取り組まなければなりません。「楽して儲けよう」などという、甘い考えはきっぱりと棄てて下さい。

 けれども、そこまでの本気度があるなら、立ち上げ自体は難しくありません。

 

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