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収益不動産投資の条件

「マイナスの資産」に気をつけろ

 

 

「不動産の価値がゼロになることはありません」

 しばらく前のことだが、「不動産投資セミナー」なるものに出かけてみたことがある。主催者は、投資用マンションの販売を手がける上場会社だった。

講師を務めるコンサルタントの話が一通り終わると、質問タイムがあった。

そこで、「うちは自営なのだけれど銀行融資が受けられるだろうか」と質問したら、「自営は停年がなくていいですね」と、はぐらかされてされてしまったのを覚えている。

 数日後、案の定と言うべきか、その会社の営業マンから電話がかかってきた。「実は、セミナーに伺ったのは株式投資家として、お宅の会社が投資に値するかどうかのほうに興味があったのだ」と説明すると、こう切り返された。「(株と違って)不動産の価値がゼロになることはありませんけどね」。

 言に違わず、その会社はしばらくして倒産し、株の価値はゼロになってしまった。その意味で、営業マンは正しかったのだ。

 

 

失敗すれば「マイナス」になる

しかし、だからといって「株式よりも不動産のほうが投資先として優れている」ということにはならない。

なぜならば、ふつう株式投資の場合は、最悪でも「ゼロ」になるだけだが、不動産投資に失敗すれば、キャッシュフローはゼロどころか「マイナス」になってしまうからである。

理由はかんたんだ。不動産投資には、必ずといっていいほど「借入れ」が伴っているからである。

 確かに、不動産の価格だけをみれば、ふつうゼロになることはないし、ましてやマイナスなるとは想像できないかも知れない。けれども借金をして不動産を買い、その不動産から得られる収益がローン返済額を下回るとすれば、それは「マイナスの資産」である。つまり、単なる金喰い虫にほかならないと言える。

 

確実に値下がりする資産

 当たり前の話だが、株式の価格は、相場によって上がりもすれば下がりもする。今買った株が次の瞬間に上がるか下がるかは、ほとんど予測不可能だ。

ところが、「不動産の場合は、それがほぼ確実に予測できる」と言えば驚かれるだろうか。

実は、これは意外なことでも何でもない。例えば区分所有のマンションなどは、新築を買った瞬間に「中古」になる。つまり、よほどのバブルでもない限り、価格は下がりっぱなして、上がることなどあり得ないのだ。

世の中に「不動産投資」を勧める業者は数多いが、そんなものを「投資」と称して、ローンまで組んで買わせるというのは、ずい分と乱暴な話ではないだろうか。

 

アメリカでは「土地よりも住宅」

 一昔前に、不動産投資のブームが巻き起こったことがある。きっかけの一つは、ベストセラーとなったロバート・キヨサキ著『金持ち父さん、貧乏父さん』だった。だが、日本とアメリカでは、不動産投資の条件はまるで違っている。

大きな違いの一つは、「アメリカでは住宅価格が上がるのはおかしなことではないが、日本では下がる一方だ」ということである。

アメリカでは土地よりもむしろ住宅に資産価値があるとみなされる。だから、しっかりメンテナンスされている住宅であれば、築年数を経ていても価格は下がらないか、むしろ上がるかも知れない。ところが日本では、資産価値の中心は土地にあって、建物としての住宅は耐久消費財の扱いだ。日本で中古物件が新築より安いのは、中古車が新車より安いのと同じくらい当たり前のことなのである。

 

「ノン・リコース・ローン」という融資形態

 そうなると、不動産に対する銀行融資のスタイルも違ってくる。

アメリカではノン・リコース・ローンという融資形態が普及している。「ノン・リコース」とは「不遡及」ということだ。すなわち、ノン・リコース・ローンとは、借り手がローンを返済できなくなったとしても、担保にした不動産を差し出せば、それ以上の債務を負担しなくてもよいという仕組みである。

このノン・リコース・ローンを利用できるとすれば、借り手のリスクは相当に軽減されるはずだ。

この仕組みがモラル・ハザードを生み、米国の住宅バブルの一因となったという批判もないわけではない()。しかし、ここで強調したいことは、投資家の債務を限定するからこそ、「不動産」は「投資」になり得るということだ。ノン・リコース・ローンは、投資家にとって、不動産投資が単なる「金喰い虫」になる可能性を排除するための制度的な保障なのである。

()返済されない場合は担保不動産のみから回収するという仕組みは、資産価値の査定の厳格化を促し、むしろバブルを抑止する効果をもつのではないか。

 

 

なぜ日本ではできないのか

けれども、日本では、投資用か否かにかかわりなく、残念ながらノン・リコース・ローンで融資を受けたという話を聞くことはめったにない。

 それもそのはずで、日本では土地の価格は上下することがあっても、建物である住宅の価値は下がる一方だからだ。

そんな環境では、銀行としても、「ローンの返済ができないからといって、価値の下落した不動産を差し出されても困る」といったところだろう。

 これを別の観点から見るなら、われわれ日本人は、建築業者や不動産販売業者によって、大して資産価値もないような住宅をつかまされているということになりはしないか。

金融危機の引き金になったという「アメリカの不動産バブル」が「住宅バブル」であって「土地バブル」でないことに注意してほしい。日本の住宅のように、「価値が下落して当たり前」と思われているような劣悪なものを造っていたとしたら、そもそもバブルなど生じるわけがない。

アメリカでは「価値の上がる住宅」を造ることができ、その証拠にバブルさえ生じたというのに、なぜ日本ではそれができないのだろうか。

 

日本で不動産「投資」は可能か

 この違いが、日本での不動産投資をいっそう困難なものにしている。ノン・リコース・ローンが利用できない日本では、不動産投資のリスクは高いと言わざるを得ない。その高いリスクにかかわらず成功を収めるには、高度の経営手腕が必要だ。つまり、専門的な知見なり経験がないと、おいそれとは手が出せない世界なのである。

従って、ロバート・キヨサキの説くような「不動産投資」とは、ノン・リコース・ローンが利用できるアメリカでこそ可能なものである。これに対して、日本でできることと言えば、それは決して「不動産投資」ではなく、「不動産経営」だけなのではないだろうか。

つまり日本では、「投資」という言葉に惑わされて、株式投資のようなものだと思って不動産に手を出すとしたら、痛い目に遭うこと必至なのである。

 もしあなたが、マンションのような不動産投資に興味があるが、不動産に関する専門的な知識や経験がなく、しかも投資の「利回り」にばかり関心があるとしたら、不動産投資を株式投資のようなものだとカン違いしている可能性がある。

くり返して言うが、日本では株式投資と同じような意味で不動産に「投資」する条件が整ってはいない。住宅が資産というより耐久消費財と見なされ、ノン・リコース・ローンが利用できない日本では、不動産は、うまく「経営」しない限り収益を生み出さないからだ。

不動産投資の条件を欠いたこの国における不動産投資の条件とは、「経営者としての覚悟」だと言うべきではないだろうか。

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日本で「不動産投資」は可能か

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