日本の著作権登録制度とは
ところで、日本にも文化庁で著作権の登録を行う制度があります。
けれども、日本での著作権登録が、著作者の権利を守るためにどのくらい有効であるかと言えば、疑問符が付くと言わざるを得ないでしょう。とりわけ、作品を公表する機会の限られている無名の著作者にとっては、ほとんど無意味な制度であると言っても大過はないと思われます。
何故なら、日本の文化庁での著作権登録は、公刊・公表・公開された著作物のみを対象としているからです。
文化庁の著作権登録には、「著作物を最初に発行(公表)した年月日を推定する登録」、「著作者の本名を推定する登録」、「著作権譲渡等の権利変動があった場合の権利者を確定する登録」などがあり、いずれも公刊・公表・公開された著作物のみが対象となっています。著作権は自動的に取得されるため「著作権をとるための登録」はもちろんありませんが、「未公表の著作物の著作者を確定する登録」などというものもないのです。
本当に必要な登録とは
けれども、「著作物を最初に発行した年月日」にしても、「著作者の本名」にしても、「著作物の真の権利者」にしても、そもそも既に作品が公表(発行)されているなら、これを証明する複数の証拠が複数の人々の手元にあってもおかしくはないはずです。
だとすれば、仮に登録がなくとも、このような内容を推定したり証明したりすることは、それほど難しくはないかも知れません。
これに対して、本当に必要なのは「未公表の著作物の著作者を確定する登録」ではないでしょうか。
何故なら、作品を公表する手段を持たない著作者(とくに無名の著作者)の立場は、交渉するべき相手である企業などに比べて余りに弱いからです。
無名著作者の不安にどうこたえるのか
無名の作者は、売り込みのために相手先に開示した作品を無断で借用・盗用されたからと言って簡単に文句など言えません。ましてや将来の取引先となるかも知れない相手に対して下手に訴訟など起こせるものでもないし、そんな体力も気力もないのです。
日本の著作権制度は、こんな無名著作者の不安にどうこたえるのか。文化庁では、著作権の『登録の手引き』という小冊子を出していますが、そこにはこう書いてあります。
「・・・不安があるのなら、原稿や下書きなど作品の創作過程で作られるものを残しておけばいいのです。」
けれども、このコンピュータ時代に、原稿や下書きなど常に残るものではないし、大事なのは、権利侵害があった後に裁判に勝つことではありません。
いな、もちろん裁判に勝つことは大事ですが、孤立無援の著作者にとっては、もっと大切なことがあるのです。
それは、あらかじめ侵害を抑止するような「権威の力」です。「お墨付き」と言ってもいいでしょう。
これがあれば、無名の作者でも企業と堂々とわたりあえるからです。
未発表・未公開・未公刊の著作物を登録
アメリカの著作権登録制度は、その役割を果たしています。
逆説的ですが、「著作権侵害の裁判において証拠として採用される」と定められていることによって、訴訟に至るような侵害を未然に防いでいると言えるのです。
しかも、アメリカの著作権登録制度では、未発表・未公開・未公刊の作品を著作権登録することが可能です。いな、可能というよりむしろこれを推奨しているようにさえ見受けられます。それというのも、公表・公刊された作品とは異なり、未発表・未公開・未公刊の著作物の場合は、1回分の登録料金で複数作品の登録ができるなど、有利な規定が設けられているからです。
さらに、特許出願とは比較にならない低廉な申請料金に加えて、詩1篇、写真1枚、イラスト1枚から登録できる気軽さもあって、アメリカでは著作権の登録がさかんに行われています。
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