Part 3 インデックス型投資信託の手数料を比較・分析する
割安な手数料の基準—国内株式型
このように一筋縄では行かないインデックスファンドの手数料率ですが、同タイプのファンドで採用している手数料率の多くが一定の範囲に収まるということは確かにあります。手数料率がそのような一定範囲内にあるファンドであれば、インデックスファンドとして標準的な手数料(信託報酬)を採用していると言えるでしょう。
さらに、その比率を参考にすれば、個々のファンドの手数料(信託報酬)が同タイプのインデックスファンドとしては「割安」であるか、それとも「割高」であるかを判断することができます。
そこで、ファンドのタイプ別に、「割安」、「割高」となる手数料率を調べてみました。
まず、日経225、TOPIXなどの株価指数に連動する国内株式型のインデックスファンドについてですが、手数料(信託報酬)の比率は、大部分が税抜きで0.5パーセント以上0.95パーセント未満の範囲内で分布しています。しかし、とりわけ多くのファンドが集中しているのが0.6パーセント以上0.65パーセント未満の範囲ですので、これを基準として「割安」か「割高」かの判断ができそうです。
すなわち、国内株式型のインデックスファンドにおいては、手数料率が0.7パーセントを超えるものは比較的に割高であると言ってほぼ差し支えないと思われます。
また、手数料率が0.5パーセント以上0.55パーセント未満のファンドも0.6パーセント以上0.65パーセント未満に次いで多くなっています。ところが、0.5パーセント未満のものは確定拠出年金(DC)などの年金用ファンドに限られますので、国内株式型のインデックスファンドとしては、0.5パーセントが事実上最低水準の手数料(信託報酬)であると言っていいでしょう。
すなわち、運用手数料(信託報酬)が税抜きで0.5パーセントから0.6パーセント程度であれば、国内株式型のインデックスファンドとしてはかなりリーズナブルな水準であると結論付けられます。
法外な手数料をとるファンドがある
注意するべきことは、国内株式型のインデックスファンドには、手数料率が極端に高いものがいくつか含まれていることです。国内株式型のインデックスファンドとしては、税抜き0.85パーセントの手数料でもかなり高めと思われるのですが、何と税抜き1.5パーセントを超えるものさえ存在しているのです。
これはアクティブ運用の株式投資信託と比べてもむしろ高めであるという驚くべき数字です。
実は、国内株式型のインデックスファンドでは、当方の調べた限り、税抜き0.9パーセントを超える手数料のファンドはほとんど存在しないか、極めて例外的にぽつりぽつりと点在しているだけです。ところが集計してみると、なぜか1.5パーセント超という最高水準のところにだけ、いくつかのファンドが集中しているのです。
そのことからみても、「1.5パーセント超」という突出した手数料の「異常さ」は際立っていると言えます。
実は、これらを設定・運用しているのは、複数の大手金融機関系列の投信運用会社です。名前を言えば「ああ、あの会社か」とほとんどの人が知っていることでしょう。
このような例を見ると、「インデックスファンドだから低コスト」という思い込みは捨てるべきであると改めて気付かされます。セールスマンの言うことを鵜呑みにせず、きちんと目論見書をチェックするべきです。
気を付けましょう。
運用手数料の重要性
ところで、運用手数料が年0.5パーセントであるか1パーセントであるか1.5パーセントであるかなどということは、極めて些細な問題であると思われるかも知れません。
しかし、長い眼で見るとその影響は決して無視できるものではありません。
下記の表を見ればわかるように、100万円を年5パーセントで10年間複利運用した場合、手数料0.5パーセントの違いは7万円超の運用成績の差をもたらします。手数料が1パーセント違えば、リターンの差は14万円以上です。
すなわち、年5パーセント複利で10年運用する場合、運用手数料年1パーセントとは、結局のところ「元本の14パーセント以上」を意味することになります。また別の見方をすれば、これは投資から本来得られるはずの(言い換えれば「運用手数料が無料」であった場合の)リターン総額の約4分の1に相当するものです。
さらに、投資信託の場合当然想定するべきことですが、運用の成果が出ない場合は、元本は手数料の分だけ減っていくことになります。
たとえ投資による損失が出なくても、運用成績がゼロだというだけで、手数料のために元本がどんどん減っていくのです(下記の計算表を参照)。
運用手数料[信託報酬]は、一見わずかのように思われるかも知れませんが、累積すればこれだけの金額を投信運用会社や銀行、証券会社に支払うことになることは、知っておいていいことだと思います。
100万円を年5%で複利運用したときの運用成績(税金を考慮しない場合)
単位: 円、1円未満は切り捨て
|
手数料無料 |
手数料0.5% |
手数料1.0% |
手数料1.5% |
1年 |
105万 |
104万4750 |
103万950 |
103万4250 |
2年 |
110万2500 |
109万1502 |
108万0560 |
106万9673 |
3年 |
115万7625 |
114万0347 |
112万3242 |
110万6309 |
4年 |
121万5506 |
119万1377 |
116万7610 |
114万4200 |
5年 |
128万6281 |
124万4692 |
121万3731 |
118万3389 |
6年 |
134万0095 |
130万0391 |
126万1673 |
122万3920 |
7年 |
140万7100 |
135万8584 |
131万1509 |
126万5839 |
8年 |
147万7455 |
141万9381 |
136万3314 |
130万9194 |
9年 |
155万1328 |
148万2898 |
141万7164 |
135万4034 |
10年 |
162万8894 |
154万9258 |
147万3142 |
140万0410 |
100万円分の投資信託の運用成果がゼロである場合(税金を考慮しない場合)
単位: 円、1円未満は切り捨て
|
手数料無料 |
手数料0.5% |
手数料1.0% |
手数料1.5% |
1年 |
100万 |
99万5000 |
99万 |
98万5000 |
2年 |
100万 |
99万0025 |
98万0100 |
97万0225 |
3年 |
100万 |
98万5074 |
97万0299 |
95万5671 |
4年 |
100万 |
98万1495 |
96万0596 |
94万1336 |
5年 |
100万 |
97万5248 |
95万0990 |
92万7216 |
6年 |
100万 |
97万0372 |
94万1480 |
91万3307 |
7年 |
100万 |
96万5520 |
93万2065 |
89万9608 |
8年 |
100万 |
96万0693 |
92万2744 |
88万6114 |
9年 |
100万 |
95万5889 |
91万3517 |
87万2822 |
10年 |
100万 |
95万1110 |
90万4381 |
85万9729 |
「ノーロードは有利」は本当か?!
さて、次の表を見て下さい。
100万円を年5%で複利運用したときの運用成績—ノーロード(申込み手数料無料)のファンドとの比較(税金を考慮しない場合)
単位: 円、1円未満は切り捨て
|
申込手数料2.0% +運用手数料0.5% |
申込手数料1.0% +運用手数料1.0% |
ノーロード +運用手数料1.0% |
ノーロード +運用手数料1.5% |
購入当初 |
98万 |
99万 |
100万 |
100万 |
1年 |
102万3855 |
102万9105 |
103万950 |
103万4250 |
2年 |
106万9671 |
106万9754 |
108万0560 |
106万9673 |
3年 |
111万7540 |
111万2009 |
112万3242 |
110万6309 |
4年 |
116万7549 |
115万5933 |
116万7610 |
114万4200 |
5年 |
121万9798 |
120万1593 |
121万3731 |
118万3389 |
6年 |
127万4383 |
124万9056 |
126万1673 |
122万3920 |
7年 |
133万1412 |
129万8393 |
131万1509 |
126万5839 |
8年 |
139万0993 |
134万9680 |
136万3314 |
130万9194 |
9年 |
145万3240 |
140万2992 |
141万7164 |
135万4034 |
10年 |
151万8272 |
145万8410 |
147万3142 |
140万0410 |
この計算表は、販売手数料を無料とするいわゆるノーロードのファンドと販売手数料をとるファンドとの運用成績の違いを示しています(100万円を年5パーセントの複利で運用した場合)。
当たり前のことですが、運用手数料が同じである場合は、販売手数料が無料のノーロードの方が有利です。
ところが、ノーロードのファンドであっても運用手数料が高めに設定されている場合は、販売手数料がかかる投資信託に負けてしまうことがあります。いな、ファンドによってその時期が遅いか早いかの違いだけであって、いずれは負けてしまう運命にあるのだと言って間違いないのです。
すなわち、上の表でも分かるように、販売手数料がやや高めの2パーセントとなっているファンドであっても、運用手数料が低めに設定されているとすれば、運用の開始から比較的早い時期にノーロードのファンドに追いつき、以後はノーロードの成績を追い抜いて、やがてはるかに引き離してしまいます。
何故ならノーロードで無料となる「販売手数料」とは、単なる一時金に過ぎません。これに対して、運用手数料(信託報酬)は、一般に販売手数料に比べるとパーセンテージは低いとはいうものの、毎年、しかも複利でかかるものだからです。
ところで、最近は、ネット証券をはじめとして、投資信託の販売戦略として「ノーロード」を強調する傾向があるようです。
ノーロードの投資信託が増えること自体は悪いことではないと思います。けれども、その代わりに運用手数料(信託報酬)が高くなるとすれば、顧客である投資家は、長期的にみて全く「割に合わない」代償を支払うことになります。
投資信託のコストとしては、何と言っても運用手数料(信託報酬)が最重要であり、第一に考慮するべきものなのです。
割安な手数料の基準—海外株式型
次に、海外(またはグローバル)株式型のインデックスファンドについてですが、・・・
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大変申し訳ございません。レポートの途中ですが、ここから後は、インターネットでは公開できません。誰でも容易にアクセスできる形で公開するには、内容的に差し障りがあるからです。
実は、ここまではこのレポート本文全体のおよそ半分です。これまでの内容も十分にお役に立つものと信じていますが、実は、後半部分は、これよりもはるかに「濃い」のです。だからこそ、インターネットで公開するには問題があります。
実は、インデックスファンドについて調査を始めたときは、「業界の嫌われ者」であるらしいインデックスファンドの運用手数料(信託報酬)が、アクティブ・ファンドの影響などにより「次第に高くなる」傾向があるのではないかという仮説を立てました。そして仮説の検証結果をすべてインターネットで公開するつもりでした。
その程度のことならインターネットで公開しても差し支えないと思ったからです。今でもそう思います。
しかし、調査の結果は、予想をはるかに超えた、驚くべきものでした。
もし、これをアクセス・フリーな形で公開してしまえば、投信・証券・銀行等の業界関係者の目に触れる可能性があります。
当方では、それは避けたいと考えました。
我々は、検証の過程で「買ってはいけないファンド」を発見しました。もちろん、レポートの後半部分にはその実名が出てきます。しかし、それはほんの序の口です。
内容の「核心部分」があまり多くの人に知られてしまったり、いわゆる「仕手筋」(ちょっと古いですが)など、一般的な個人資産以上の金額を市場で動かせる立場の人たちに渡ってしまうのは、正直言って怖いのです。
それはどういうことか・・・。
このレポートの全体を記した書籍の題名に、そのヒントが隠されています。
『誰も知らない 投資信託の秘密---インデックスファンドは相場を予言する---』
お気付きかと思いますが、この書名は、明らかに矛盾しています。
すなわち、インデックスファンドとは、相場と「連動する」、つまり「同時に」動くものです。その定義からして「相場を予言する」などあり得ない話なのです。
それは確かなことです。少なくともファンドの値動きをみる限りは・・・。
では、いったい何故「インデックスファンドは相場を予言する」と言えるのか。これを知るだけで、本書を買ってみる価値はあるでしょう。
本書の内容には、これを書いた当方自らが驚愕せざるを得ませんでした。調査の結果判明した事実があまりに予想外であったからです。巷で売られているどんな書籍を見ても、このような情報は得られないと確信しています。
ですから、もし購入されて、万一「こんなことは読まなくても知っていた」と思われたなら、ご購入から1週間以内にご連絡下さい。返金の手続きをとらせていただきます。
また、本書のご購入は個人の方に限らせていただきます。投信・証券・銀行等の金融業界関係者、さらにいわゆる「仕手筋」など、一般的な個人資産を超える金額を市場で動かせる立場にある方のご購入は、大変申し訳ございませんが、お断りさせていただきますので予めご了承願います。
「Part 2
インデックス型投資信託の「手数料が安い」は本当か」に戻る
「Part 1
インデックスファンドとは「投信業界の嫌われ者」である」に戻る
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