日本の銀行は「蟻地獄」に落ちた!
もし、「どんな銀行が破綻しても決済性預金は全額保護できる」と政府が本気で考えているとしたら、恐ろしくノーテンキな経済見通しであると言う外はありません。
また、「大銀行は破綻しないから、保証額はさほど大きくはならない」などとタカをくくっているとしたら、それこそ危ない。
それというのも、深尾光洋著『日本破綻』(講談社現代新書、注)にもあるように、今や日本の銀行は「構造不況業種」で、「働けば働くほど損をする」という悪循環に陥っているからです。
諸悪の元凶のように言われる銀行の不良債権も「処理すれば処理するほど増える」という蟻地獄のような実態があります。
日本政府は「事実上破産」している
一方、政府はと言えば、税収は50兆円ほどしかないのに700兆円とも1000兆円とも言われる負債を抱えてニッチもサッチも行かない状況にあります。これは、日本国債の購入者、つまり「債権者」がたまたま自国民であるから持ちこたえているだけで、通常なら破産している状態です。このままでは、国債の債権者である国民に「債権放棄」を迫る以外にない、と言う人もいます。
(注) 深尾光洋氏は、日本銀行、OECDシニア・エコノミストなどを経て慶応大学商学部教授。その著『日本破綻』は、日本経済の現状を知るために是非とも読んで頂きたい一冊です。決して煽情的な本ではありませんが、冷静な分析のためかえって危機感が深まります。特に「制御できないインフレを回避するには、現金・紙幣に印紙を貼って課税するしかない」という指摘は衝撃的なものです。
ハイパーインフレが来る
日本政府が少しでも「債務不履行」の兆しを見せようものなら、日本経済=円に対する信用は失墜し、制御不可能なハイパーインフレになることは間違いないでしょう。
日本経済は「ラテン・アメリカ化する」。
もう何年も前から、マクロ経済学者・財政学者たちが予言していたことが現実となるのです。
この「国家破産」とも「日本破綻」とも呼ばれる危機的状況では、円建ての資産は文字通り紙切れと化する可能性が極めて高いと言えます。
すなわち、ハイパーインフレの下では、「1000万円」と言っても、現在(2002年8月)の時点での1000万円と決して等価ではありません。インフレは、巨額の債務を抱えた政府にとっては好都合かも知れませんが、預貯金中心の個人資産などはひとたまりもなく消え失せるでしょう。
では、どうするか。
外貨預金は保護されない
このような状況下で個人の虎の子の資産を守るには、資産の少なくとも一部を外貨で運用する以外にありません。
だったら、手っ取り早い方法として「外貨預金」しよう、というのが一般的な発想でしょう。
ところが、日本の預金保険では、外貨預金は保護の対象外となります。つまり、日本の銀行に円建て以外の預金をした場合は、それが1000万円に満たない金額であっても、確実に保証されることはないのです。
これは何を意味するのでしょうか。
日本の銀行では確実な資産保全はできない
その意味するところは、「日本破綻・国家破産という状況の下では、日本の銀行に確実な資産保全を期待することはできない」ということに外なりません。
ハイパーインフレによって円建て預金の価値が下落することはもちろん、それを避けるための外貨預金は日本の銀行に預金する限り保護を受けられない、すなわち銀行破綻があれば確実に失われてしまうからです。
ペイオフは「日本破綻・国家破産」と切り離せない
これが、資産の保全という観点からとらえた「ペイオフ問題」の本質です。
これまでは、「ペイオフ対策」と言えば、「1000万円を超える資金をどこに預けるか」というような点にばかり関心が集中し、日本破綻・国家破産の問題と結びつけて論じられることはありませんでした。しかし、日本経済の現状を鑑みる限り、ペイオフは少数の「危ない銀行」を避けるというような小手先の問題ではあり得ません。仮に日本破綻・国家破産が現実化すれば、銀行が連鎖的に破綻し、ペイオフが実施される可能性が高いですし、逆に銀行破綻を引き金にして日本破綻・国家破産が表面化する可能性もあります。このように、ペイオフとは、日本破綻・国家破産の問題と切り離せない問題なのです。
「日本破綻・国家破産など起こるわけがない」とお考えでしょうか。
もし起こらなければ、それに越したことはありません。しかし、確実な資産保全のためには、最悪の状況をも考慮しながら、リスクの分散を図るというのが鉄則です。
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