海外で利用されている信託、財団の種類
リヒテンシュタイン財団 (Liechtenstein Foundation)
信託の設定は、イギリス、アメリカ、チャネル諸島など英米法の行なわれている地域では一般的ですが、その他の地域では「財団」が同様の機能を担っています。日本でも、「信託」というより「財団法人」の方が一般的にイメージしやすいかも知れません。リヒテンシュタイン財団は、資産保護目的のためにヨーロッパ大陸で用いられる財団形態として代表的なものです。
財団と信託の違いは、信託が単なる「約束・関係・役割」であって法人格が認められないのに対して、財団が法人であることです。独立した法人として、リヒテンシュタイン財団には、定款や執行・決定機関が備わっています。また、英米法の信託ではダイナスティ信託などの例外を除いて無期限の信託期間は認められていませんが、リヒテンシュタイン財団の場合は、定款などで永続的な存続期間を定めることができます。
さらに、日本の財団法人が純粋に公益目的のものしか認められないのとは反対に、リヒテンシュタインでは、家族や子孫のために資産を保全するという純粋に私的な目的による財団の設立が認められています。設立の手続きも簡便で、専従の担当者や事務所も不要です。日本では専従の担当者や事務所が必要とされるのはもちろん、設立の認可が下りにくいため、担当者が長期にわたり主務官庁に日参しなければならないとされているのとは対照的と言えるでしょう。リヒテンシュタインでは、このように簡単な手続きで、純粋に私的な資産保護のための財団(家族財団)、慈善・公益目的の財団、さらに私的と公益の両方の目的を備えた混合財団を設立し運営することができます。
リヒテンシュタイン財団では、創設者が財団に譲渡した基本財産の所有権は法人としての財団に移っていますが、創設者は、定款に「取消し条項」を加えることにより財産の譲渡を取り消し、財産の返還を求めることが可能です。財団が解散した場合の残余財産は、原則として受益者に帰属します(日本の場合は原則として国庫帰属)。
このようにリヒテンシュタイン財団では、日本の財団法人や英米法の信託=トラストに比べて、より簡便で柔軟な運用が可能になるように制度設計がされているのが特徴です。
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